
―小児消化器からつながる未来を考える
1. 『自分の専門をどうやって決めようか』と悩んでいる方へ
『自分の専門をどうやって決めようか』と悩んでいる方は、決して少なくないのではないでしょうか。
私はもともと、「小児の患者さんが大きくなってからも継続して診ていける分野で働きたい」という思いが強く、小児科における年齢制限にどこかもやもやを感じていました。小児期から思春期、そして成人期へと続く疾患に対して、「ここで終わり」ではなく、その先の人生まで見通して関わり続けたいと考えていたためです。
そうしたなかで、小児消化器はまさに「連続性」を意識しやすい領域であり、成人移行を見据えながら診療できるフィールドだと感じました。成人領域の先生方と連携しつつ、成長後も一貫して患者さんを支えていける点に、この分野ならではの大きな魅力を感じています。
その思いをさらに強くしてくれたのが、信州大学小児科の中山佳子先生、昭和伊南総合病院の堀内朗先生のもとで経験させていただいた国内留学です。松本城の麓に位置する信州大学や、南アルプスに囲まれた昭和伊南総合病院という環境の中で、消化器内科医として勤務し、成人領域も含めた数多くの内視鏡検査・治療に携わる機会をいただきました。上部消化管内視鏡1,000件以上、下部消化管内視鏡300件以上、ポリープ切除や内視鏡的粘膜切除といった治療手技も経験し、1年半で成人領域の消化器内視鏡専門医・消化管専門医を取得することができました。この経験は、現在の小児診療においても大きな財産となっています。
2. 僕のミカタ:日本小児栄養消化器肝臓学会という存在
日本小児栄養消化器肝臓学会は、とても温かい雰囲気のある学会だと感じています。自分が「消化器をしっかり学びたい」と思いを伝えたとき、所属や病院の垣根をこえて、さまざまな先生方が自然に手を差し伸べてくださいました。診療の場面でもそれは同じで、悩む症例があればすぐに相談でき、「今、日本で考えうるベストのアドバイス」を惜しみなく共有してくださる、とてもアットホームな空間です。
こうした「助け合い・支え合い」の文化は、先輩方から受け継がれてきた大切な土壌であり、これからこの分野を目指してくれる後輩たちにも、私たちが同じように手を差し伸べながらつなげていきたいと思っています。「一人で抱え込まなくていい」と感じられる場があることは、専門を模索する若手にとって大きな支えになるはずです。
3. 少子化を生き抜く専門性を身につけよう

少子化が進む一方で、小児の潰瘍性大腸炎やクローン病は確実に増加しています。生物学的製剤をはじめとした治療選択肢が広がるなかで、治療戦略はますます複雑になり、長い人生を見越した治療方針を患者さん・ご家族と一緒に考えていく必要があります。
そのような場面で、できるだけ苦痛の少ない内視鏡検査や丁寧な説明を通じて、患者さんやご家族にとって「ここなら相談しても大丈夫」と思っていただける存在でありたいと考えています。少子化の時代だからこそ、一人ひとりの子どもに深く関わり、強みのある専門性を身につけることが、これからの小児科医に求められているのかもしれません。
もし少しでも「この分野をもう少し学んでみたい」「同じような症例を診ている仲間と話してみたい」と感じていらっしゃる方がいれば、ぜひ日本小児栄養消化器肝臓学会の扉を叩いてみてください。日々の外来で出会う便秘や腹痛、体重増加不良、肝機能異常といった身近な症状から、この学会の世界につながっていきます。一緒に、おなかが痛くて悩んでいる子どもを一人でも減らせるように、少しずつでも良い方向へ広げていけたら嬉しく思います。

