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ウイルス性肝炎

<診断のポイント>

黄疸をきたす乳児期までのウイルス性肝炎は、そのほとんどがB型肝炎です。乳児期の急性B型肝炎は、母子感染あるいは家族内の水平感染が感染経路なので、詳細な問診と家族内のB型肝炎の検索により診断できます。


<総論および病態>

ウイルス性肝炎とは、肝炎ウイルス感染による肝細胞障害を意味します。黄疸を伴う肝機能異常は、この時期サイトメガロウイルス感染症でもみられますが、サイトメガロウイルスは肝細胞内で増殖しないため、肝炎ウイルスではありません。この年代のサイトメガロウイルス感染の頻度は高く無症状のものも多いため、肝炎の原因を検索する際には短絡的にサイトメガロウイルス肝炎とせずに、他疾患を十分に除外する必要がります。B型肝炎の母子垂直感染では、約85%が肝炎をおこさずにキャリア化します。また残りの15%は一過性感染で終息しますが、黄疸がみられるほどの重症な肝炎をおこすことはほとんどありません。黄疸をきたす重症肝炎をおこすのは、水平感染がほとんどです。キャリア化することはありませんが、一部劇症化します。


<診断の詳細>

HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、IgM-HBc抗体、HBV DNA(リアルタイムPCR法)で診断をします。HBs抗原が陰性であっても、それ以外の検査データのいずれかが、陽性であればHBV感染症を疑い、小児肝臓専門医へ連絡をとってください。


<治療と予後>

劇症化するかを正確に診断することが重要です。乳児では脳症の判断は極めて困難なため、@T.B≧2.0mg/dl、AALT≧1.000 IU/L、BPT<60% あるいはPT-INR>1.5、のいずれかを満たした場合は、早急に小児肝臓専門医に連絡をとってください。上記3項目のうち、2項目以上を満たした場合は、小児肝臓専門医の施設へ搬送してください。上記3項目のうち、2項目を満たしていても抗ウイルス療法と人工肝補助療法で内科的に救命できる可能性が高いです。


<参考文献>

1.白木和夫. B型肝炎母子感染防止の糸口と展開. 小児科臨床. 2004; 57:1995-2001
2.乾あやの 他. 本邦における小児期の劇症肝不全. 日本腹部救急医学会雑誌. 2009 29:583-9.
3.Aomatsu T, et sl. Fulminant hepatitis B and acute hepatitis B due to intrafamilial transmission of HBV after chemotherapy for non-Hodgkin's lymphoma in an HBV carrier. Eur J Pediatr. 2010;169:167-71.
4.十河 剛 他. 小児期の劇症肝不全の最近の治療. 小児科. 2008 ;49:1885-93


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